ココ・シャネル

世界に数ある宝石の中で、シャネルが格別に気に入っていたというのが、真珠。
シャネルスーツや黒のシンプルなドレスにパールのロングネックレスを合わせてポーズを決める彼女自身のスナップは、現在も数多く残されています。
二連、三連、…七連と、胸元から滝のように流れ落ちるパールの多彩な輝きと完璧な質感に、シャネルは夢中でした。
恋多き女性、シャネルはウェストミンター公爵との交際期間に、数々の宝石を発表しました。
彼から贈られた真珠の首飾りや、エメラルド、ルビーのゴージャスなネックレスが、彼女のクリエイションに火をつけたのです。
また、チャールストンを踊っている際に、2メートルのロングパールネックレスがばらばらになってしまったこともあったそうです。
紳士たちが目の色を変えて膝をつき、珠を拾う様を、面白がって眺めていたという逸話が残っています。
パールをこよなく愛したシャネルは、昼夜問わず、浜辺を散歩するときも、仕事をするアトリエですら、手首、胸元、指先にパールを飾りました。
ある時、独創的なエスプリを持つシャネルは、パールを数連にして、ロングネックレスとして着用することを思いつきました。
生きた素材であるパールは、あらゆる角度から光をとらえ、身に着ける人の身体の揺れに反応し、月明かりのような穏やかな輝きでフェイスやデコルテの打つ草を引き立てることを、彼女は知っていたのです。
シンプルな服装に強烈なインパクトを与えるパールのロングネックレスというスタイルは、これからもすたれることはないでしょう。
オードリー・ヘップバーン
大きな飾りのついたパールのネックレス。
夜会巻きにまとめた髪にはゴージャスなヘア飾り、そして大きなサングラス。
高級宝飾店ティファニーのショウ・ウィンドウの前で、タクシーから降りたヘップバーンがコーヒーを飲みながらデニッシュを食べるのは「ティファニーで朝食を」の有名なオープニングシーンです。
主人公ホリーは、つらいことがあるとティファニーのウィンドウに行き、中にある美しい宝石に見入って自分を励ましました。
模造パールしか買えないホリーは、印象的なブローチを正面に着けることで、さほど高くないネックレスをとても豪華に見せていました。
愛くるしい笑顔で人々を魅了してやまないオードリー。
スリムで完璧な姿勢、優雅な身のこなし、内面からあふれ出すエレガンスは、女性たちの憧れでもあります。
「ティファニーで朝食を」で身に着けた黒のシンプルなイブニングドレスにひときわ輝く真珠のネックレス。
何でもない黒のドレスをこれだけ装飾的に着て、アクセサリーを目立たせ、品を下げないのは、オードリーの着こなしの才能によるものかもしれません。
また、「麗しのサブリナ」では洗練されたオードリーの小物使いが楽しめます。
例えば、白地に黒一色の刺繍のイブニングドレスに、胸元にはあえて余計なアクセサリーはなし、という計算された美しさで登場したオードリー。
耳元には大きめのドロップ型真珠のイヤリングが光ります。
オードリーが映画の中で演じたヒロインの衣裳やヘアアクセサリーは、女性たちにすぐに真似され、そのまま当時のトレンドとなっていきました。
今のファッションにも十分通用するオードリーのパールジュエリーの付けこなしを、映画を見ながら楽しむこともできます。
マリリン・モンロー
ハリウッド黄金時代を象徴する女優、マリリン・モンローは、この世を去ってからも、映画や無数の写真の中で生き続け、その魅力は色あせることがありません。
セクシーで派手なイメージが先行しがちですが、彼女がプライベートに選んだのは実にシンプルで清楚な印象の物でした。
1954年にハネムーンで来日した際、マリリンは夫のアメリカ野球界の英雄、ジョー・ディマジオからミキモトの真珠のネックレスを贈られました。
現在、彼女が遺品として唯一残した真珠のジュエリーとして、ミキモトアメリカが所蔵しています。
あくなき向上心で、ピンナップ界の女王から、ハリウッドのスターへと成長したマリリンの生き方は、長い年月をかけて深い輝きを増してく真珠のようでもあります。
ジャクリーン・ケネディ・オナシス
彼女は最年少でアメリカ合衆国のファーストレディとなりました
そのファッションは世界中で注目され、ブームを巻き起こしました。
フレンチシックな装いを好んだ彼女の定番ジュエリーは2~3連のパールチョーカー。
真珠は、その気品ある美しさを強く印象付ける役割を担ってたのです。
グレース・ケリー
銀幕のスターからモナコ公園のプリンセスと華麗な転身を遂げたグレース・ケリー。
すべてを手に入れた彼女が、生涯にわたって愛したパールジュエリー。
それは、どの豪華な宝石よりも彼女のノーブルな魅力を引き立て、そのドラマティックな人生に優しく寄り添い続けたのです。
ソフィア・ローレン
ゴージャスな美貌と圧倒的な存在感で知られる、イタリアの大女優ソフィア・ローレン。
彼女は公私にわたり、燦然と輝くダイヤモンドよりも気品に満ちた真珠をこよなく愛しました。
ロングタイプのパールネックレスを上手にアレンジし、自分らしい組み合わせをコーディネートしていました。
存在そのものが宝石のような彼女にとって、主張しすぎない真珠は、理想のパートナーだったのでしょう。
エリザベス1世
真珠を愛し、ただそれだけでなく、活用さえもした有名な女性がいます。
16世紀、大英帝国を統治したエリザベス一世その人です。
絶対王政を確立し、スペイン無敵艦隊を撃破した史上最強の女王エリザベス一世は、白く輝く真珠をまとうことで、処女王としての純潔さをアピールし、女らしい軟らかさも演出しました。
彼女の真珠ずくめの姿は圧巻でした。
豪奢なドレスには、小粒の真珠がきらびやかに縫い付けられ、長い真珠のロープを何連も胸にたらし、腕には真珠のブレスレットをいくつも巻いて腕にも真珠をちりばめました。
お気に入りのペット、オコジョにさえ真珠珠性の首輪をつけたと言いますから、その真珠好きはけた外れでした。
白い光をまとった威厳ある美しい女王は人々の目に、美しい神の化身とさえ見え、その権力はいやがうえにも高まったのです。
背が高く、ブロンド。有能な男性たちを従え、自分の意見をはっきりというエリザベス一世は、いわばかっこいい系の女性。
当時は大変珍しかったですが、現代には少なくないタイプです。
ウージェニー
19世紀の花と謳われた、ナポレオン三世妃ウージェニーは優美で、可愛らしい用紙、女らしさそのものといった皇妃なのです。
スペイン貴族の出身で、その魅力によりフランス皇帝の妻となったウージェニーは、王族の持つ凛とした神々しさが欠けていました。
彼女が真珠を愛したのは、尊敬するマリーアントワネットが真珠を好きだったからでもありますが、可愛らしいイメージに、高貴さをプラスするためでもあったようです。
ウージェニー皇后は、カラーパールを流行させたことでも知られています。
ニュージャージーで発見されたピンクパールをティファニーから購入、また社交界にエキゾチックな黒真珠を紹介しました。